補足その３ side.b

別視点の誰かからのお話。

照明する人も、証明できるものも既に無い
終焉を壊した物語。

同時に此処から始まる物語。

何時ものように脅威が一つだけだと思っていたのが甘かったのだと思う。
退けた後に新たに発生していた事の確認を怠った結果。
それが今のこの惨状だ。

とはいえ、今は悔やんでいる場合じゃない。
なんとかボアヘッドは退けたけど、
仲間は既に村へと帰っていて連絡は期待できない。

自力で彼女を運ばなければならないが
意識が既に無いのか、回復が効いている気がしない。
こうしている間にも、血の気が失われていく。

どうする。
応援を呼んで帰ってくる頃には手遅れになる可能性が高い。
かといって、このまま連れて行っても恐らく間に合わない。
光明の見つからないまま帰路を歩く。
それでも、諦めたくなかった。

そんな願いが届いたのかは判らないが、
彼女の懐から落ちた本の内容を思い出した時

それに賭けてみる気になったのは
時代も、場所も、術の形態もまるで違うのに
その本の人物と境遇だけは似ていたから。

一字一句間違えないよう正確に発音しながら強く願う。
俺達は終焉を壊す者。ならば

奇跡を、見せてやろうじゃないか。