補足その３

今から書くよ。
AM６時。眠いよ。

８時だよ。おやすみなさい。

……さて、何処まで話したかな。なんかもう面倒なので
とりあえず私はエンドブレイカーになって旅に出たとかじゃ駄目なのだろうか。
……駄目か。
確か、本を読み始めた辺りからだったはずだな。

あれから暫く勉強する日々なのだが、
そんな所まで事細かに説明すると手間がかかるし
意味もあまり無いので内容は省くとして、
四季が一周するくらいなので約一年位か。
私自身、今だ未成年でもある、
多分一般的な人よりは早く覚えていったのではなかろうか。

あれ一冊では覚えられる内容も一部だったので
彼が似たような本を旅先で集めてきてくれた事も
意欲の一因ではあったのだろう。
誰だって私の為とか言われたら、その、なんだ。
頑張る気にもなると思うのだ。

因みに本代は珍しい物と称して（実際に珍しいので嘘は言っていない）
収集家でもある父に出してもらっていた。大体は即決だった。
たまに母に見つかって父娘共々叱られる羽目になったのも
今となっては懐かしい。

逸れた話を戻すとして、……そうだな、次は転機の辺りか。
その原因を作ったのは……私だからな。良く覚えている。

関連の本も何時の間にやら冊数は１０を超えて、
近くの森に薬草を摘みに行ったある時の事だ。

知識だけを詰めても、実際に実行出来るかは別問題。
実演を兼ねた勉強の一環で、
自由農夫の様に即座に作れるものでもないし
多少危険でも採取に行く必要が何度かあった。

当時の私はエンドブレイカーではないが、
魔術の本で覚えた魔法と、
今より活発な性格のお陰か、彼や父等の真似事で
拙いながらもある程度の剣技もできた。
魔法剣士の素養があったのは、その頃からかもしれないな。

まぁ、そうして一人で出かけていっても
何時の間にか先回りされていたり、すぐに追いつかれたりして
（何故居場所が判るのか一度聞いたら彼曰く
「旅人のカン」などと根拠も浪漫の欠片も無い事を言っていた）
大抵は彼と二人で探す事になったのだが。

その日も例によって先回りされ、
先回りした分、家から全力疾走でもしてきたのか
目に見えて疲れ気味の彼と目的の物を見つけたときだったか。

何度も来た事のある油断でもあったのだろう、
その時の私は少々浮かれ気味で注意不足だった。
要するに、敵に襲われたらしい。

らしいというのは、録に敵の姿も見ずに初撃で吹き飛ばされたから。
此処で一旦、私の意識は途切れる事になる。


目が覚めた時には全てが終わっていて、周囲には何の気配も無かった。
そう、何も。
唯一羽織っていた、血で染まった彼の服で、私は戦闘があった事を知った。
それが私の知る限りの、彼の最後だった。